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「"うんち"はいいこと」を社会の常識に。

「トイレや排泄のイメージを変えたい」正面から向き合うことで、暮らしや健康のあり方の根本を考える──。ネピアとともに「うんち教室」に取り組む日本トイレ研究所の挑戦をご報告します。
悩みを抱える学校のトイレ。
「うんち教室」が目指す、トイレのあり方とは?
 小学校の学習指導要領に「排泄」の単語が存在しないことをご存知でしょうか。子どもたちは排泄の仕組みや大切さを学ぶ機会がありません。加えて全国の公立小中学校の半分以上が築後四半世紀を経過して老朽化。
子どもたちは家庭の清潔なトイレとのギャップを感じ、排泄することを「嫌なこと」として捉えてしまいます。このマイナスイメージと合わせたストレスで、学校でのトイレを我慢してしまうのです。そんな状態が、身体にどんな影響を与えるかは想像するに難くないでしょう。
 日本トイレ研究所では、日本人の「食」への関心が高まる一方、「排泄」はタブー視されていることを問題として、1997年より啓発活動をおこなってきました。
 そんな中、とあるイベントで、トイレットペーパーを使って素敵に演出された王子ネピアのブースに出会い、こんな風にトイレを表現できる方々と一緒に何かしたいとお声がけしてはじまったのが「うんち教室」です。2007年よりスタートしたこのプロジェクトは、日本だけにとどまらず、王子ネピアが取り組んでいる「nepia 千のトイレプロジェクト」の一環として、東ティモールの小学校でも実施し、好評を得ています。
子どもたちにわかりやすく伝える。
「うんち教室」が提言する"いいうんち"。
「うんち教室」ではまず、子どもたちに「うんち」にはいろいろな状態があり、「うんち」を見ることで自分の健康状態がわかることを伝えます。野菜不足の “カチカチうんち”、冷たいものを飲み過ぎたりおなかを冷やしてしまったときの“ドロドロうんち”、運動が足りない“ヒョロヒョロうんち”、そして健康的な“キラキラうんち”。この4つを伝えるだけでも、子供どもたちはポジティブにうんちへの興味を抱くようになり、健康的な“キラキラうんち”を目指したいと思うようになります。
さまざまな色の粘土を混ぜ合わせ、それを乾燥させてつくる「うんちえんぴつ」も、楽しみながらうんちへの興味を高めるためのプログラムです。子どもたちは、うんちを「汚い」「嫌い」と言って目を背けていた状態から、“キラキラうんち”へのモチベーションを持ち、トイレや排泄することが大切だということにも気づき、次第に目を輝かせるようになっていきます。
「うんち教室」では、"うんち日記"を子どもたちに配布し、子ども達が楽しく学べるよう工夫している。
子どもたちが家庭に帰ってからも
うんちへの意識を継続できるように。
 「うんち教室」の狙いは、子どもたちに「うんちは恥ずかしくない」、「トイレ・排泄は良いことで、大切なことなのだ」と意識できるようなってもらうことです。それは、健康への大切な一歩につながります。
 教室を終えて家庭に帰った子どもたちは、「今日は学校でうんちについて勉強したよ」とうれしそうに話すようになるようです。“キラキラうんち”をしたいからと、食事に興味を持つようになる子どもたちも多く、私たちもその気持ちをサポートできるよう、教室に参加した子どもたちには「うんち日記」を配布しています。  
 「うんち教室」での気づきが一時的なものにならないようにするためには、大人たちのサポートがとても大切です。例えば、子どもが「うんち」の話をはじめると遮ってしまうご家庭もあるようですが、本当は大人にこそ子どもたちと一緒になって楽しみながら「うんち」の話をしてほしいのです。家庭でも、大人が「いいうんちが出たね。元気いっぱいの印だね」と笑顔で話せば子どもたちの喜びに繋がり、それは、結果として健康な生活への意欲につながるはずです。
"うんちの大切さを世の中に伝える"ための"挑戦"は続く。
 これまで、出前授業という形で実施してきた「うんち教室」ですが、学校の先生や保護者からも評価いただき、より多くの開催に対応できるよう、最近は一般教諭や養護教諭を対象とした「うんち教室研修会」にも力を入れています。今後は、この大切な取り組みをより多くの学校で定期的に実施できる体制を全国で広めていきたいと考えています。  
 「排泄」は、「食事・運動・睡眠」と同じように大切な生理現象です。そして「うんち」は、生活を映す鏡。消化のこと、腸内のこと、あるいは文化の違い、時代の違いも学べるのが「うんち」です。「うんち」をすることは当然だし、正しいことだし、良い「うんち」にしたいと考えるのは楽しいことのはず──。こうした「うんち」に対する正しい認識を子どもたちに教育していかなければいけない。私たちは、そのためのお手伝いを続けていきます。